2012年02月15日

日本の家電各社が「ルンバ」を作れない>本当<の理由

 日本の家電各社が「ルンバ」を作れない理由 国内製造業の弱点はそこだ!!

 という記事が話題になっています。
 商品化しない理由について「100%の安全性を確保できない」と説明する。
 例えば、掃除ロボットが仏壇にぶつかり、ろうそくが倒れ、火事になる▽階段から落下し、下にいる人にあたる▽よちよち歩きの赤ちゃんの歩行を邪魔し転倒させる−などだという。

 それについて国内製造業はリスクを極端に避け過ぎではないかという切り口で記事はまとめられています。

 しかし、この件に関して国内製造業の判断は至って真っ当です。今「ルンバ」が事故を起こしても、ある程度までは「買った人の自己責任」で片付きます。あなたは「ルンバ」のメーカー名を知っていますか。知らなくても恥ずかしくありません。多分ほとんどの人が知りません。そんなところから買う時点で買う側の自己責任が問われます。

 一方、たとえば「大手国内製造業製ルンバ」が「よちよち歩きの赤ちゃんの歩行を邪魔し転倒させ」らどうなるでしょう。とても大きなニュースになります。どんなに事前に説明していようが、どんなに分厚いマニュアルに警告を書いておこうが、どんなに使う側に問題がありそうでも、連日テレビで大騒ぎです。大手国内製造業が作れば大勢の老若男女が気軽に買っていくのですから、様々な事故の可能性が増えます。

 デジカメの電池は釘で打つというテストがあると聞いた事があります。「!?!?!?」と思うかもしれませんが、ゴルフのスパイクで踏んでしまう事故を想定しているそうです。そう聞くとなるほど必要かもと思うのではないでしょうか。「ルンバ」はそのレベルの事故にはまだ対応できないのです。つまり自己責任で買うことを暗黙に求める無名メーカでなければ、これは売れないのです。

 こういった棲み分けはごく当たり前です。例えば肉やパンを切るスライサー、家庭用では安全ボタンを指で押し続けないとスイッチが入らなかったりしますが、業務用にはそんなボタンはありません。スイッチを入れれば刃は回り続けるし、うっかりそこに指を入れれば切れます。道具を正しく使える人だけが使う道具です。このような商品は量販店にこそ置いてありませんが、ネットに行けば業務用厨房機器のサイトで簡単に買えます。だからと言ってずぶの素人がそのサイトで買って使って指を飛ばしても7時のニュースで大きく取り上げられることはないでしょう。つまり、買う側に必要なリスクを求められるビジネス形態やサイズがあるということです。それが、日本の家電各社が「ルンバ」を作らない本当の理由です。彼らは彼らのビジネス形態・サイズに合わせた判断をしているのです。

 社会はこのようなユーザーの協力がいるイノベーションも大量にあります。成功するかどうか分からない新しい公共サービスをいきなり国レベルで始めるのではなく、小さな自治体で「うちで試してみよう!」と始めてみるのも同じ話です。イノベーションはユーザーが必要なリスクを共有してくれる形態や規模で仕掛けねばなりません。小さなイノベーターさんたち、ぜひこのことを意識して巨人にはできないイノベーションをどんどん仕掛けてくださいね。
posted by 産業創出ネットワーク at 09:00 | TrackBack(2) | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする