2014年01月08日

「右脳バランス」PDF+EPUB版公開

 ニコニコ動画のブロマガ「未来の普通」で、昨年二ヶ月以上に渡ってお届けした「右脳バランス編」を、まとめました。

 ニコニコ動画のサイトでEPUB版をダウンロードできるようにしたのですが、PDF版が欲しいとか、普段ニコニコ動画使わないので購入が面倒とか、お声を頂きました。

 ということで、Gumroad を利用してダウンロード出来るようにしました。

 発想もめきめき20代からの右脳バランス(PDF+EPUB版)

 購入すればPDF版、EPUB版どちらもダウンロードできます。ぜひお楽しみください!

posted by 産業創出ネットワーク at 17:56 | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ロボットがリーダーになれるかなあ

 おもしろい論文発見

 集団と集合状態との曖昧な境界 : 早朝の公園で見出される多様なアイデンティティ

CiNii。ラジオ体操に集まるゆる〜い集団についての考察。

 楽しく読んだけど、ふとここで出てくるリーダーはロボットにもできそうだということ。毎日同じ時間にラジオ持って現れて、同じ時間にラジオのスイッチを入れ、体操しながら周りに声をかける。ロボットにさせればかなりいい感じの集団が形成されるのではないだろうか。

 たとえば、

 デレク・シヴァーズ 「社会運動はどうやって起こすか」

 に倣って、そのロボットに合わせて体操する人が一人いれば、他の人始めやすいし。合わせて体操する人は、同じ人である必要もないし、毎日でなくてもいいかもしれないし、とにかく負担は少ない。リーダーはロボットに任せて、人間はデレクの言う「最初のフォロワー」を担う。

 介護施設でロボットがファシリテータとかしてるみたいだけど、実際の運用は良く知らないけど、無理にみんな集まれーと強制しなくても、ロボットとさくら(?)一人いればだんだん集まるのかもしれない。

 こういうリーダーは人間よりむしろロボットのが得意と認知される頃には、すでに人間とロボットの共生が普通に受け入れられているのかも。


posted by 産業創出ネットワーク at 14:19 | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月13日

DMMの3Dプリントサービスと女優の3Dデータ

 先日 dmm が 3Dプリントサービス始めて、それ自身はエロじゃないんだけど、なんかエロの隣で需要あるよねと思っていたら、AV女優の3Dデータが公開されました。着衣で。

 これも直接エロじゃないんだけど、エロの隣。そのサイトでは他の工房を推薦しているので、dmmとつるんでいるわけではなさそうで、みんなその辺に目をつけてるということですよね。

 dmm は艦これという直接エロじゃないけど、エロの隣で爆発的なヒットを作ったり、なんか目の付けどころがするどいと思う。

 3Dプリントサービスどう発展するか楽しみです。

 なお、ここの更新止めて代わりにアネックス作ったけど、滅多に更新できてないので、もうこっちでいいかなと思っています。
posted by 産業創出ネットワーク at 22:14 | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月05日

高校男子は父を嫌わなくていいのか〜自律性を育むには〜

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 前回教育は無償化するのか。3つのポイントの中で、今、子どもに何を教育するかが難しいことに触れました。たとえば企業は新卒社員に「主体性」「規律性」「好奇心・チャレンジ精神」といったものを求めていますが、じゃあそれを鍛えておけば、将来安定した高給の職業につけるのか、誰も保証してくれません。

 いったい何を育むべきなのか、二児の父としてとても悩ましいことです。

「親ラブ族」

 さて、そんな中、このあいだテレビで面白い話題を知りました。「親ラブ族」です。父親が好きな女子高生が増えているとのこと。詳しくはたとえばこのまとめ。

 娘がパパに萌え萌え!親ラブ族の女子高生たち - NAVER まとめ

 昔は、女性は血のつながった父の匂いを嫌悪するように定められてみたいなもっともらしい科学的根拠もあったような気がしますが、ダウトがかかっているわけです。夫婦の仲がいいことが関連したり、今の父親はバブル世代を通して、女性を楽しませることを知っているからではないかという説明があるそうです。

 さて、私に娘はいませんから、このことはよく分かりませんが、では息子はどうなんでしょう。父と息子といえば、あるときから強いライバル関係になったり仲が悪くなったりするイメージがあります。やはり中学生から高校生くらいの頃でしょうか。が、それは当たり前の事、あるいは必要な通過儀礼なんでしょうか。父娘の関係が変わってきていますから、父息子についてもダウトをかけられそうです。

親が子に教えられること

 この変化の激しい社会、今日の常識は明日の非常識、はっきりいって、親から子にこれをしておけば大丈夫、この能力を伸ばしておけなんて自信をもって薦められることなどありません。

 しかし、ならばはっきりと言えることがあります。

自分を助けられるのは自分だけ

 この間の獣電戦隊キョウリュウジャーに出てきたセリフです。いや〜、子ども達が大好きな番組でいいこと言ってくれた、これから使わしてもらいます。

 この言葉一言では自律性と言っています。上に出てきた主体性にもつながる言葉です。

自律性を育むには

 さて、自律性を育てたいと思うところまではいいのですが、自律性を育てるとはなかなか難しいというか、そんなの直接育てられる気がしません。「さあ、ここは自律的に選んでみよう」なんて言った時点で、自律性さようならです。

 私たちにできることと言えば、なるべく子どもの邪魔をしないこと、大人から見ると「え〜」と思うようなことでも、なるべくなにも言わずに我慢する。必要なら見て見ぬ振りをするくらいが精一杯です。なにかもっといい方法があるのでしょうか。

 今社会が求めている能力はこういった直接育てられないものが多いのではないでしょうか。子ども達の内から出てくる力です。たとえば「チャレンジ精神」もそんな気がします。「好奇心」に至っては、子どもはもともと好奇心の塊ですから、むしろ大人や社会が好奇心を奪っているようにみえます。

 大学も直接育てられない能力に注目し、ギャップイヤーなど支援を始めています

自律を助けるテクニック

 閑話休題。自律性は本人に任せて見守ることしかできないとして、親としては、自律的に行動するために必要な具体的な二つのテクニックを教えています。なにかしたいと考えても、それを実現するにはやる気や気合いだけでは限界があります。

 ・やりたいことを途中で止めること
 ジョン・デューイの経験と教育 という本に
教育の理想的な目的は、自制力の創造にある。
という言葉があります。そのときそのときの衝動を抑制する力です。
 
 親としては、「遊ぶの止めて(やるべきことである)宿題をしなさい」という文脈で使いたくなりがちですが、そちらは強調せず、本人の欲望を満たすために大事だと教えています。たとえば大好きなスキーに行くには朝早く起きなければなりません。ですから前の晩、なにかの遊びに熱中していても諦めて、早く寝なければなりません。より大きな欲望・目標のために、今目の前の衝動を抑制する力です。

 それ自身は小さい子でも場面によって自然にできたりします。眠いけど、獣電戦隊キョウリュウジャーの時間になれば、がんばって起きるとか。それを自発に任せるのでなく意図的に起こす力が役に立つのです。

 これについては、このニコニコ技術部の動画に大変お世話になりました。

 車から変形するものすげえロボットで、子ども達も「すげーーー!」と大絶賛なのですが、この動画を見ると2002年の1号機から2012年の7.2号機まで10年かかってることもわかります。「こんなにすごいの作るには10年かかる」と知るわけです。彼らは工作が好きなので、熱中していると延々やろうとしますが、「やりたいのはわかるけど、本当にすごいもの作りたかったら、今は止めてまた明日やり」と諭すことができるようになりました。ためになるニコ動。

 自律するからには、自分のしたいことをやり遂げたくもなるでしょう。自制力を鍛えておくことで、より大きな目標に挑戦することができるのではないかと願っています。

 ・毎日やる
 自律的に目標を立てるとき、目標が大きくなるほど達成は困難になります。「今がんばらねば」と自制力だけ頼るのもしんどくなりがちです。そのために一番てっとり早いテクニックは「毎日やる」ことです。毎日の習慣にしてしまえば、普段は自制力に頼らなくても、歯磨きをするように、目標に向かって進んでいけます。

 そのために、長男(小3)から公文をさせてます。毎日。そりゃもう大変で毎回「公文辞める」とわめく時期もありますし、「公文は自分でやりたいといったわけではない」と理論武装されるときもあります。
 それでもとにかく続けさせてます。一見自律性と矛盾するのですが、「将来何か大きな目標ができたときには、毎日のように取り組まないといけないが、それは公文がそうであるように、とても大変なことで、小さい頃から訓練が必要だ」と説得しています。やはり、10年かかった変形ロボットの話も出しながら。
 本人かなりきつい時期もあったようで、これに固執していいのかはかなり悩ましかったですが、最近転機が訪れました。

自律の芽生え

 いくら将来のためにと思いつつも、毎日長男のモチベーションを維持させるのは本当に困難です。たまに溜まりに溜まった公文の紙を見せて「こんなにやったんやで、がんばったなー」とか(それでもどんどん捨てているのですが)、古い、つまり今となっては簡単なのを見せて「ほら、これ簡単やろ。随分かしこくなったなあ」とか褒めたりしたのですが、あんまり効きません。
 ところが先日3ヶ月ごとに来る個人成績表みたいなので、前回から順位があがったのを指摘したら、なんか言葉はないけど、感慨深い顔をして、つまりなにか手応えを感じていたようでした。これが効くとはちょっとびっくりしました。

 なので、「もうペース落としていいよ。でもやったらやっただけ順位あがるから、行けるだけ行ってみれば」と言うようにしました。すると、最近算数に時間がかかりすぎていたのですが、自分で先生に相談して、やるところを少し戻してました。さぼりたいとかではなく、冷静に自分の力と相談したのでしょう。それからは今のところ調子良くやっています。

 これを象徴に、最近はああ自律的に行動するようになったなあと日々感じます。
 子どもは好奇心の塊なので、幼くても放っておけば好きなこと始めて、面白い成果をあげてくれます。でもそれだけでは自律的だという実感はありませんでした。次男(5歳)はまだその段階です。
 でも、最近の長男は、それが生活全体に行き渡ってきたような感じです。親が今までしつけとして無理矢理しこんで来たこと、たとえば歯磨きなどにしても、自分なりに意味を理解し、できるようになってきたのです。もちろん大人と同じように面倒くさくて仕方ない時もありますが「やらなくちゃ」という意識そのものは安定してきているのです。

 ぜひこれからはその自律性を発揮して、今まで仕込んだ2つのテクニックを使って、どんどんやりたいことに挑戦して欲しいものです。

高校男子は父を敵視しなくていいのか

 そして、今後、もしこのまま自律的な行動を尊重していたら、ここで漸く最初の話題に戻るのですが、父と息子は別にライバルや敵になるプロセスは必要はないのではないか、そう仮説を立てました。

 もちろん、今後もしつけなければならないことはしつけるし、いくら自律的にやりたいことがあっても、家や親の都合で我慢してもらわなくてはいけないこともあります。でもそれ以外はやりたいようにやってもらったり、さらに一緒になにかするときは子どもの意見も取り入れながらやれると思うのです。

 実はロールモデルもあって、親戚の高校男子とか父親と仲いいですし、立派な子だし、「男子たるもの父親に反抗してこそ」なんてこと絶対ないと信じるに足ります。時期が来たらいろいろアドバイスもらおうと思っています。

ようやく自律性を尊重できる時代になり、親ラブ族も生まれた

 しかし昔はなかなかそんなわけにはいかなかったでしょう。社会には「かくあるべき」という行動規範が細かく決まっており、そもそも親がそれに従う必要がありましたし、子どもも親を通して「かくあるべき」を強制されました。もちろん子どもにとってそれは苦痛ですから、反抗しなければなりません。それを通して、でも大抵は自らも社会の細かい行動規範に従う大人に変化してしまうのです。

 でも、だんだん社会は変化しています。社会の細かい行動規範に従うだけで誰にでもできることしかできなければ仕事がなくなる時代です。多様性を確保し、多様な人材と共創していく力が必要です。

 親ラブ族は、そんな時代を背景に、親と子それぞれがそれぞれらしさを認めあって、つまり、子の自律性も認めて、親子で共創を始めたのではないか、そんな風に感じています。

 であれば、父・息子でも同じようなことが起こることでしょう。きっとニコ動でもニコニコ学会でも、私は知りませんが、親子でこんなロボット作りましたみたいなのが出てきてて、そのうち、頻繁に見るようにもなるのではないでしょうか。
 
 それにしても、父親大好き女子高生が増えるとか、ホントに昨日の常識は今日の非常識。世の中なにが起こるか本当に分かりませんね。

 最後ですが長男の話は現在進行形で、つまり、明日には「自律性が芽生えたと感じたの幻想だった」と大反省するかもしれません。「公文辞める!!!」もまたあることでしょう。そしたらすんません。

・併せてどうぞ
【馬】すでに今の普通「ギャップイヤー」の先 大学も直接育てられない能力に注目し、支援を始めました。

posted by 産業創出ネットワーク at 10:45 | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月04日

教育は無償化するのか。3つのポイント

 大学の教育費はもっと下がるだろうという話をしていたら、教育は無償化に向かうという話が出てきたので、さらに考えてみようと思います。

 先日、【馬】どうなってる? 10年後の大学という記事で、大学費は価格破壊を起こすのではないかと考えました。

 とihayatoさんがちきりんさんのツイートを引用しながら、教育の無償化についてまとめています。

 子育て中のお父さんお母さん、安心してください。教育は無償化に向かいますよ
教育無償化の動きは着々と進んでおり、特にテクノロジーを用いた取り組みが熱いです。これは重要なテーマですので、改めてまとめてみようと思います。
 果たして教育は無償化するのか、いくつかポイントをまとめてみました。

0 素晴らしいコンテンツは昔から増え続け、これからも増える。

 ちきりんさんとihayatoさんの紹介している内容の多くは、KhanAcadeny や東大の授業といった質の高いコンテンツがどんどん無料で出ているというものです。ここみらふつでも、1年以上前ですがあらゆる教材がどんどん出てくるで、取り上げました。

 この傾向は大変素晴らしいことですが、このこと自身は、遥か昔から着々と進んでいることです。つまり伝統的には教科書や参考書といったものです。教材は一度作ればずっと使えるので、年々レベルがあがります。本は基本的に有料ですが、図書館の利用や古本の利用など、工夫もできます。ネットに無料で公開されているテキストも増えていくことでしょう。

 それに加えて、授業の映像そのものも増えてきているのが現状です。派手な変化ではありますが、昔から勉強する人は、本でばりばりやっているわけで、教材の種類が増えて人によってはより学習しやすくなったという昔からの延長線上にある変化と言えます。

1 学習者に合わせて伸ばすには。

 しかし、いくら教材が増えて良くなったからといって、教育はそれだけではありません。

 たとえば、学習者が課題を修了する度、次なにをするべきか。もちろん教科書の順番でもいいのかもしれませんが、それだけが答えではないですよね。学習者の興味に合わせて、やりたいところをどんどん進めてもいいはずです。先の学年の参考書を入手してどんどんやってもいいでしょう。
 そこに良い指導者がいるとうまく水を向けられます。高校の頃数学が好きでしたが、塾の先生が高木貞治「解析概論」という大学生向けの教科書を薦めてくれました。全部はとても無理で微分の定義辺りまで読んだ記憶がありますが、とても面白かったのです。

 そういった学習者の知らない世界は自分で開拓するのは難しいですから、他人の力が必要です。たとえば良い先生などです。

 でも、ネットや教材が発達すれば、たとえば教材はリンクだらけで、興味があればどんどん深堀できるとか、勉強のソーシャルネットで、先生というか先輩の様子を見て、それを真似るとか、単にネットで興味あること検索してたら、どんどん発展できるとか、この項目についてもどんどん捗りそうです。

2 学習者がつまづいたら。

 うちの長男は公文をしています。基本自分で進めていますが、見ていると、たまにスランプに陥ります。1枚5分程度が標準かと思いますが、1時間かかったりします。やればなんとかできるのですが、手につかない時間が大半です。ただやれと言ってもうまくいかなくて、なにか手につかない障害があるのです。

 そんなときは、抜け出す方法をあれこれ考えてあげます。1問やったら一休み、次は2問やったら一休み、みたいなちょっとした工夫です。理論もやります。やる気はやり始めないとやる気が出ないから、とにかく目の前に宿題を出す、とか、簡単のから始めるとかです。そういうのを教え込むと、自分で工夫するようになりますが、それでもダメな時はまた新しい工夫を教えるなどです。

 これについて、良い先生がいて外からうまく手を差し伸べられれば学習者は大いに助かるでしょう。

 しかし、これもネットや教材が発展すれば、ソーシャルでお互い刺激しあったり、ゲーミフィケーションを取り入れた教材で、楽しんで学べるなど、この項目もどんどん捗りそうです。

 ガイドはどうでしょう。学習者がなかなかある項目を理解できないとき。優れた教材がたくさんあれば、それのどれかは、その学習者にぴたりと合うのがあるでしょう。でも、学習者がそれに当たるまで何度も違う教材を読むのは非効率です。良い先生なら、その学習者の「癖」を知っていて、この教材がよさそうだとあたりをつけた方がぐんと効率が上がります。

 これも、ソーシャルなつながりがあれば仲間でかなり補いあえそうです。

2.5 でも、資本主義だから教育費は下がらない?

 ということで、教材以外の要素1、2についても、ネットや教材の有機的な進化によって、低いコストで実現できそうです。今後勉強は多くの人にとってもっともっと楽しいものになるでしょう。それこそパズドラみたいにです。

 それでは本当に教育は無償になるのでしょうか。

 それはそんなに単純ではありません。上記の1、2でも書いたように、ネットや教材がいくら進化したところで、その分、それを超える先生も出てきます。学習者を適切に伸ばしたり、つまづいた時に手を差し伸べたり、どんぴしゃのタイミングで「いまでしょ」と言える指導者。

 資本主義である以上、そういう人に対価を払う親はいるでしょう。いくらネットや(無償の)教材が増えても、それをうまく活用する支援など、いくらでも新たな有償サービスが開発されるでしょう。つまり、それは、結局、親が教育費に払える分まで行われます。
 
 様々な学問を修めるのに必要な教材は、本が普及して図書館が普及された時点で、だいたい無償で揃えることが可能な時代に入りました。でも親はそれ以上に教育費を工面して有償のより良い教育を子に与えようとするのです。

 先日の【馬】どうなってる? 10年後の大学という記事で大学費の価格破壊が起こるのではという視点は、それとはちょっと違って、高い学費を払って大学に行っても、それをカバーできる分給料の良いところに行けるわけではなくなってきたというものです。大学は就職に直結しているので、シビアにならざるを得ません。費用対効果が見込めるところまでは下がるだろうということです。

3 教育費を押し下げる真の要因

 ではやはり教育費は下がらず、家計を圧迫するのでしょうか。

 なぜそんなに教育費をかけなければならないのか。それは単一基準の競争社会だからです。日本の全学生は画一的な試験による偏差値で一列に並べられ、トップの人から順にいい大学に行き、いい会社に入り、いい給料をもらえるからです。最終的にはそこまで単純ではないですが、子どもに20年のオーダーで育てるには、その仕組み前提に動かざるを得ませんでした。

 単一基準ですから、教育手法が高度に発達し、つまりお金をかければかけるだけ成果が出せるサービスが産まれます。親がぶちこめる金の量で、単一基準のどこまであがれるかが決まって来るわけです。ですから、親は自分が苦しいぎりぎりまで教育費をかけなければならないし、ですから、それぞれの親にとってそれぞれ教育費は高いものになってしまいます。

 でもそんな世界は過去になりつつあります。

 範囲の決まった学習範囲の中から作られる試験でいくら卒なく点を稼いでも、実社会で求められる真の実力になりません。いま求められている能力はそういうものではなくなってきています。逆に言えば、そういう型にはまった方法で高められる能力でできることは、高度成長期に大いに発展し、とりあえずできるところまでやってしまったのです。

 今求められるものは、そういうものではなくなってきました。たとえば、

 「ニッポンは“使えない人”だらけ?」 過熱するグローバル人材狂想曲

に、
だが、その一方で、グローバル時代における新卒社員に求められる能力はというと、上位3位を、「主体性」「規律性」「好奇心・チャレンジ精神」が占めた。
とあります。「規律性」は古典的な教育で育ちそうですが、「主体性」「好奇心・チャレンジ精神」を育てようと思ったとき、お金をかければかける程育つでしょうか。そこまで、成熟した分野ではありません。

 そもそも、何を育てればいいかというのは、今社会全体で共有しているわけでもなく、仮にお金をかけて「主体性」「好奇心・チャレンジ精神」を育てたところで、「おお、この子は大人になったら安定して高給な職につけるね」という社会的なコンセンサスもありません。単なる親の教育方針です。言葉を変えればステータスになりません。有名塾に行った、有名中高や大学に行ってるというような効果はないのです。そういうことに高いお金をかけるのは割とリスクです。お金かけるとしてもほどほどに、たとえばサマースクールに行かせて「主体性」「好奇心・チャレンジ精神」が育ってほしいくらいが、多くの親の感覚ではないでしょうか。

 つまり、お金のかけようが難しいのです。

 さらに、そんなことより、親として社会をどのように捉え、どういう能力を伸ばしておくかの方が遥かに難しい問題です。大枚はたいて有名塾にいれて、子がそれについていければ将来安泰なんてことはありません。その塾で生活時間が忙殺されることで、「主体性」「好奇心・チャレンジ精神」はあまり育たないかもしれません。そのリスクすら考えなければならないのです。

 教育サービスがリストに並んで、お金のある人から順番に上から選び、それがその子の将来の給料を決めるという時代ではありません。

 これこそが真に教育費を下げる要因です。お金ではなく知恵を絞らないといけません。お金はかからないかもしれませんが、それはむしろ親にとって、より「困難」な時代なのです。
 
・併せてどうぞ
【馬】どうなってる? 10年後の大学
posted by 産業創出ネットワーク at 11:55 | 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする