2012年11月12日

【馬】漫画の「才」を埋もれさせない方法

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漫画の「才」はあるも、世に出ようとしない人たち

というツイッターまとめにインスパイアされました。

私が美術大学という場所で多くの学生を見て痛感した事は「才能は存在する」という事であり、「才能の9割は水子になって消えて行く」という恐ろしい事実である。 ― 竹熊健太郎(京都)さん (@kentaro666) 11月 7, 2012
 私が子供の頃は男の子の大半は野球に憧れてました。私には才能のかけらもないのに、毎日家の壁に投球練習してたのよく覚えています。これくらい誰もが憧れ挑戦していれば、かなり効率よく「才」のある人を見つけ出していたことでしょう。一方で、本当はサッカーやバスケや水泳にものすごい才能があったもしれない子供達はほとんどが埋もれたことでしょう。

 人気が集中しやすかった過去は、その分野は才能ある人を見つけやすかったかもしれないけど、他の分野はその分見つけにくかったり、私のようなまったく才能ない人の努力がべらぼうに無駄になっているという問題がありました。

 それに比べれば今はずっとずっと状況は良さそうです。ニコニコ動画やpixivなど自分の作品を発表する場がたくさんあります。私が応援しているMYTRACKsでは、例えバンド仲間がいなくても、自分のパートをアップロードするだけで他の人とセッションができたりします。今では発表する場がないことを言い訳にするのはむしろ難しそうです。竹熊さんは「投稿も持込みもしない才能」を嘆いていますが、昔は投稿したくても敷居が高く過ぎたことと比べればずっとましではないでしょうか。

 しかし、発表の場が整備されればされるほど、新たな問題が発生します。レベルが高くなりすぎます。ニコニコ動画でボーカロイドの曲をアップロードしようとすると、昔は曲だけで画像は一枚の静止画というのもたくさんありましたが、今では最初から素敵なPV付きのが多く、一枚絵だといい曲でも埋もれがちです。主題のマンガについては今ニコニコ静画など発表の場が整備されつつありますが、整備されてしまえば、ボーカロイド曲のように敷居が高くなってしまうかもしれません。

 しかし、悲観する必要はありません。簡単です。小さなコミュニティを作ってしまえばいいのです。村ぶろというサービスがあります。和歌山県の北山村という小さな村が始めたソーシャルネットサービスです。村に住んでいなくても村人になれるという不思議なルールで運営されています。でも効果ははっきり。若い人がやるブログはちょっとと引いてしまう年配の方でも村のブログならと始められるそうです。始めたら覚醒する人もいるとか。

 そんな村ぶろは日本各地に点々と飛び火し始めています。

村のブログ「村ぶろ」とその仲間達 - NAVER まとめ 

あなたの町に村ぶろができる日も近いかもしれません。

 こんな風に小さいソーシャルネットサービスはどんどん増えるでしょう。一つ一つは小さくても同じようなのが横展開して無数にできるのです。そこでは投稿のレベルが低くても構いません。学園祭のバンドは仲間が盛り上がってくれれば実力はそんなになくたって楽しめます。小さなコミュニティの作品はそのコミュニティが盛り上がれば質は二の次です。

 そういう敷居の低いコミュニティが無数にできれば、作品発表の敷居は低いままにできます。マンガであれば、自分ではマンガを描く気ない人でも誰かに頼まれてとか些細なことがきっかけで、そういうサイトに投稿、評判が良くって何度が繰り返すうちに、ニコニコ静画に出してみれば?ってなって、大ブレイクなんてことが起こることでしょう。

 したがって、例えばソーシャルネットサービスがFacebookだけになるなんてことは絶対起こりません。Facebookでは折り目正しくよそ行きの気持ちで行動し、もっと小さな居心地のいいソーシャルネットでくつろぐような切り替えが普通になるでしょう。

 誰でも小さなソーシャルネットサービスが作れるようなプラットフォームができれば、この動きは加速しそうです。そんな日が楽しみですね〜。

 ここからは【馬車目線】での解説をお送りします。

 【馬車目線】 新人漫画賞の賞金は高額なほど効果があるか 

 
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2012年11月01日

地域登録型の価格.comでみんなハッピーになろう。地球にもやさしく。

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 「ただで商品が届くと思うんじゃねぇよ。」発言を発端にした送料問題で、ゾゾタウンが送料無料になったそうです。

 ZOZOTOWNが送料無料に

 こんなにごちゃごちゃしてしまうのは、システムに問題があるから。日々ITが発達してますから、今ならもっと理にかなったシステムを提供できそうです。

 それはまず、「価格.com」のような比較サイトで、ユーザーには配送先の地域を指定してもらい、地域に合わせた送料も計算した価格で比較できるようにすることです。

 比較サイト使ってても結局送料いくらなのか調べないといけないし、だから送料込みがウケるのでしょう。でもそのために東京に住んでいるのに数十円の違いで「地球さんごめんなさい」とか思いながらわざわざ福岡の店に注文なんて行動も取ってしまいます。

 比較サイトは仕組みを作り、店側は比較サイトに送料が計算できるように情報を提供し、ユーザーは地域を登録した上で送料を加えた価格を比べられるようにします。送料無料と言っても、ゾゾタウンがテレビCMをやめるなどしてまかなう。とコメントしたようにもちろん裏では払っています。送料を真面目に計算する店の方が、結果としてより安い価格で提供できます。送料が高くなる遠い地域には使ってもらえなくなりますが、本気で取りたいなら遠い地域にも拠点を作ればいいのです。そうやってみんなが近い地域の店を使うようになれば、店の数も増えるし、地球にも優しいし。

 一斉にやる必要もありません。比較サイトが仕組みさえ作ってしまえば、後はやる気のある店から始められます。全国送料一律無料のサイトより、近くは安くすればユーザーが見つけて買ってくれます。先行者利益があるのです。ユーザー側も送料含んだ比較ができるなら喜んで地域を登録する人が出てきます。地域が得られればより精度の高いマーケット情報が得られますから、比較サイトとしてもやりがいのある取り組みです。

 人も店も首都圏に多いので、場所による送料の変化とか首都圏の人にとっては些細な問題で、だから(多分首都圏に本拠地がある)比較サイトもあんまり意識行ってないと思いますが、地方の人はそういうサイト待ってると思います。是非お願いします!

 冒頭のゾゾタウンの問題は価格の安い商品に対する送料の問題ですが、送料込みで比較できるようになれば、落ち着くところで落ち着きます。送料無料にすれば価格の安いので有利になるけど、それは経費として他に響きますから、価格の高いところでは他とシビアに他と比べられることになります。安いところを手厚くするかどうかは各店の方針ということになります。ゾゾタウンの場合もきっかけはともあれ、送料無料がテレビCMと同等の広告効果がある規模になってきたからやるという冷静な分析があるのではないでしょうか。

 早く送料システムが脱皮して、ゾゾタウン問題みたいなもめ事がなくなるといいですね。

・併せてどうぞ
ihayato さんも取り上げたZOZOTOWN社長の「イチローチョップスティック」問題】 事の発端
すごいぞ!ヴェトナムのスーパーカブ】 モノが運ばれてるとこ見るのって楽しいですよね。


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2012年09月28日

家で授業を聞き、塾で宿題をしよう


 最近、欧米を中心に教育現場での革命的な変化についての記事をますます頻繁に見るようになりました。

 授業をあらかじめ撮影しておき、生徒は自宅で自分のペースでその映像を見ておきます。学校では宿題をして、分からないところは先生に聞くというスタイルです。そのスタイルの草分け的存在であるカーンアカデミーではすでに多くの授業が公開されていて、算数・数学では足し算からベクトル解析までつまり小学校から大学レベルまで受けることができます。

 このような動きについては、カーン・アカデミー以外も含め昨日下記のサイトで大変丁寧で分かりやすい解説が公開されました。ぜひご覧になってください。

  ITで教育を変える。シリコンバレーを中心とした「EdTech」というトレンド

 カーンアカデミーについては、創始者サルマン・カーン氏のTEDビデオが大変面白く、20分と長いですがぜひチェックしたいところです。

 サルマン・カーン「ビデオによる教育の再発明」

 さてこのような教育の再発明は同時多発的に起こっているようです。下記の記事では同じような取り組みが紹介されています。

 【デジタルネイティブ】家で授業を聞き、学校で宿題をする :

 カーンアカデミーには触れずに書かれており、カーンアカデミーとは独立した動きのようです。この記事の興味深いところは家で授業を聞き、学校で宿題をするスタイルは予算の都合で仕方なくそうなっているのではないかという論調で、つまり幾分批判的なところです。

 気持ちは分からないではありません。私も、小二の息子の授業参観に行き、自分の頃とは進め方が変わったことに気付きました。先生が質問をし、生徒たちが手を挙げ、一人が指名され答える。そこまでは自分のときと同じです。しかし、私の場合はそこで先生が「はい。あってます。」と言っていたところ、息子のクラスでは、生徒全員が「はい。あってます。」と声を合わせるのです。もし一部「違います。」という子がいると、そこで先生は丁寧に説明を始めます。

 これなら当たらない子も退屈しないし、みんなで授業を受けてるという連帯感も出るし、答える子が間違えるだけでなく生徒の誰かが間違えても拾い上げられるし(発声してくれればですが)、いい仕組みだと思いました。何年生までその方法を使うのかわかりませんが、こういう工夫があるんだなあと感心しました。

 という風に、伝統的な授業の延長にもよりよい授業というのはありそうで、当然がらっと変えるのにはバリアがあります。「家で授業を聞き、学校で宿題をする」というスタイルで学校での進め方が一気に塗り替えられるとはとても思えません。いろいろ試行錯誤しながら進んでいくことでしょう。特に日本ではこの方法に対する反応は鈍いようで、この方法を取り入れた学校というのを聞いたことがありません。どなたかご存知ですか?

 でもこれ、塾なら今すぐできますね。本当ならビデオを作った方がいいのかもしれませんが、NHKなどすでにある教材活用すれば安価に始められます。公文みたいに教室ではそれぞれがそれぞれの課題をやって、分からないところを教師に聞きます。すでに公文のようなやり方が良く知られているので、保護者も受け入れやすいのではないでしょうか。是非始まってほしいものです。

・併せてどうぞ
あらゆる教材がどんどん出てくる】カーンアカデミーだけでなく、いろんなところが教材を作っています。みんな作りたくて仕方ないのさ。
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2012年09月26日

旬の終わりで季節を先取れ

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ナスの花


先日ちきりんさんの「旬を食べよう」というお話を紹介しました。情報技術や流通が発展していることで、私たちは再び旬を楽しめるようになってきています。

 そこで、新しい野菜の旬が作れないかと思っています。これは旬の図です。
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全国で成長する野菜は露地物であっても、早くできるものもあれば、遅くできるものもあります。先日稲刈りを紹介しましたが、それはここから小一時間入った山の中の話で、うちの周りに少し残る田んぼではまだ稲刈り始まっていません。このように収穫にばらつきがある中、早くできるものは旬の走りとして重宝されますが、遅くできるものは旬も終わりだし、みんな飽きている頃かもしれません。これでは実りの遅い地域ではせっかく作っても高く売れないかもしれません。

 そこで、新たに旬を作ってしまうのです。秋ナスってありますよね。ナスは夏が旬ですが、お盆の頃に一旦枝や根を刈り込んでしまって、また新芽を出させることで、夏のナスに負けないむしろ「嫁に食わすな」とさえ言われるおいしいナスを再び楽しむことができます。

 これを真似ます。刈り込むわけではありません。成長が遅い地域で、旬の季節を変えてアピールするのです。たとえば秋キュウリとか夏イチゴといった調子です。調べれば収穫時期が違うのはよくありますが、夏イチゴとアピールするのは本当に夏に取れるのではなくて、晩春に取れるものを季節を先取りして夏と言ってしまうのです。日本人は季節の先取り大好きです。育てる品種を一工夫して、夏をつけるならよりみずみずしいとか、秋をつけるならより濃厚とか、季節のイメージにあった特徴があるのが大切です。

 例えば、国産のレモンは、秋から春にかけて収穫します。なんと夏のイメージですが、夏には採れません。そこで春4月頃収穫できる最後のレモンを「夏レモン」としてアピールするのです。4月頃のレモンにどのような特徴があるかは知らないのですが、例えば完熟とかなら夏レモンのイメージに合いそうです。

 ハウスなどで経費をかけて付加価値を高める方法もありますが、消費者が再び旬に敏感になってきたという変化を利用して付加価値を高める方法もありそうです。

・併せてどうぞ
ちきりんさんの「旬を食べよう」という正論は、クックパッドがあれば実践できる!
タグ:循環型社会
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2012年09月04日

【勝手に楽観シリーズ:4】原発ゼロを決めても、原子力の安全を支える人材を確保する簡単な方法

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 政府から原発ゼロに向けての課題が示されました。

原発ゼロ:省エネ投資に100兆円必要の試算示す…経産相

 いろいろ大変そうではありますが、それでも、
 古川元久国家戦略担当相は、討論型世論調査などで集めたエネルギー政策に関する国民の意見について、「少なくとも過半の国民は原発に依存しない社会の実現を望んでいる」との分析結果を提出した。

ということです。以前紹介した熟議型世論調査が最後の一押しになりましたね。

 さて、課題はいろいろありますが、その中の一つ、
 ▽原子力の安全を支える技術や人材が失われる

は皆さんも気になるところかもしれません。

 でもこれ全く問題ありません。簡単です。大学で今原子力関係の学科が「原子力発電廃棄科」などと今後原子力発電を廃棄して行くのに特化した分野に鞍替えすればいいのです。この学科は超人気が約束されています。なぜなら、

 絶対食いっぱぐれないから

です。大義もある上、相手は人間なんかより遥かに寿命の長い核廃棄物、目の黒いうちは絶対なくなりません。このご時世でこんなおいしい分野若い世代が放っておくわけがありません。

 大きな大学はこういう鞍替えがなかなか難しいでしょうから、まずは学生確保に悩んでいる中堅大学にお勧めです。超急げば、来年度からだってできるかもしれません。いかがでしょう?

・併せてどうぞ
討論型世論調査の結果発表!〜積み上げグラフで意見の変化を分析する〜
【勝手に楽観シリーズ】
1:やればやるほど豊かになる
2:義足ランナーが世界記録を出したら素直に讃えられるのか
3:これからは、「個」で生き生きといかざるを得ない
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