将棋。自分より1つ下の羽生と森内はずっと見てたけど、いまえげつない。
世の中では羽生のが目立つけど、森内も強くて、名人戦は2011年から三期続けて 4-3, 4-2, 4-1 と羽生を跳ね返し、名人戦では圧倒的な強さを見せていた。森内はさらに去年最高峰竜王も獲得、森内時代到来かと思わせる強さだった。
しかし、四月から始まった名人戦で羽生が4度目の挑戦で4-0の完封で名人を奪還。続いて今行われている棋王戦では羽生棋王に森内が挑戦しているが、昨日までで 2-0 と対森内6連勝。羽生・森内・渡辺が今3強なんだけど、その一角に対して6連勝とかあり得なくね?
ということで、今年度羽生は対森内の6勝含め8戦全勝の一方、森内は4勝9敗と大きく負け越し。しかも4月3-3、5月0-4、6月1-2とここ2か月さんざんな目に。3強のはずなのに、羽生被害者の会に仲間入りしてしまいそうだ。
それにしても今期の羽生は強い。電王戦で、コンピュータ将棋がとても注目されているけれど、それにもかなり刺激されているのではないだろうか。
手元の将棋ソフト激指12で羽生の対局を分析してみると、羽生は中盤から終盤に入る辺りが驚異的に強いように思う。
激指12は最強のソフトではないから、最強のソフトでどうかは分からないけど、激指12の特徴を書くと、まず終盤にはとても強い。他のソフトも含め将棋ソフトの特徴であろう。
一方、中盤の分析はあまり役に立たない。中盤で先手有利が出て、それにしたがって暫く進めても、互角に戻ったりする。
羽生の対局の中盤は、激指12では有利と出ていることもあれば、不利と出ていることもあるし、解説者の分析相手がやや有利かと言われることが多い。序盤中盤から圧倒なんてことはまずない。
しかし、ちょうど激指12の評価が信頼できるものになる直前数手が、羽生はいつも強い。中盤ふらふらしていた評価が、ほんの数手でするするっと羽生有利に傾き、そのまま定着する。その間、対局者に決定的な悪手がなくてもだ。もし、激指12がもっと強ければ、その数手前から羽生有利を出せるのではないかと思うが、まだできないし(より強いソフトならできているのかもしれない)、対局者が羽生に勝てない決定的な数手ではないだろうか。
羽生は終盤は極めて安定していて、ソフトの評価を大きく外した手を指すことはほぼ皆無。したがって毎局、今コンピュータソフトにとって最も参考になる中盤から終盤にかけての貴重な数手のデータを増やしていることになる。各ソフトの開発者が参考にしないわけがない。
今期どこまで羽生の快進撃が続くのか興味深い一方(7冠も今のところ可能)、羽生の「せいで」コンピュータソフトはあっという間に強くなるんじゃないだろうかと気をもんでしまう。