討論型世論調査って何??? 知らない間に始まってた市民参加の熟議
で紹介した中長期のエネルギー政策を巡って実施した「討論型世論調査」について、昨日結果が発表されました。
原発ゼロ支持、47%に増加 討論型世論調査 容認約3割は変わらず
2030年時点の原子力発電への依存度でゼロを支持する参加者が討論を通じて33%から47%に増えた。一方で一定の原発比率が必要とみる割合は合計で約3割あり、あまり変わらなかった。
ちなみにこちらを見ると、
民意頼みの政府 討論型世論調査で原発ゼロ半分近く
討論型世論調査を政府として取り入れたのは世界初って書いてあるんですが、本当ですかね。
意見公募では90%近くが意見聴取会では約80%が原発ゼロ案支持ということで、政府としては原発ゼロシナリオでまとめる方向のようです。選挙で選ばれる議員はこの状況には逆らいようがないですね。
討論型世論調査:「原発ゼロ」46.7%に増加
9月にも中長期の指針となる「エネルギー・環境戦略」を正式決定する方針。すでに政府は「30年代前半の原発ゼロ」を目標とする方向で検討に入っている。
さて、せっかくなので、下記サイトから元データを当たってみることにしましょう。
エネルギー・環境の選択肢に関する討論型世論調査
「調査報告書」などをざっと見てみました。まず興味深いのは、討論を経ることで、
「他の意見の尊重」が増加し(67.4→76.9%)、(中略)「妥協の用意」があるとの答えも増加している(57.9→62.8%)。これは、討論型世論調査の特徴でもあるが、他の意見を尊重するということが、実際に行われていることへの反応であると同時に、話し合う余地は大いにあるということを示しているといえよう。
という結果が得られたことでしょう。ケンカしていたわけではなく、互いの意見を尊重しながら議論されていたことが伺えます。
さて、報告書にはいろいろグラフが並んでいますが、回答の傾向がわかりにくいので回答の割合を積み上げる形でいくつか結果を眺めてみようと思います。
例えば安全の確保をどれくらい重視するかという問いについて、討議後の結果は次の通りです。
このグラフは少し見るのにコツがいるかもしれません。10(もっとも重視する)と答えた人は目盛りの20%から100%までに相当し、つまり80%程の人が9や8でなく、「もっとも重視する」と振り切った答をしています。全員の回答を小さいもん順に並べたグラフは次になりますが、これをなぞるようなグラフになっていると考えると分かりやすいかもしれません。
これは大変極端な傾向です。
意見がばらつく場合は、次のようになります。例えばコストをどれくらい重視するかという問いについては、こうなります。
これは5(ちょうど中間)を選択した人が15%から50%辺りつまり35%と多く、そこから6〜10(もっとも重視する)と答えた人がばらけていて、0(もっとも重視しない)〜4と答えた人は比較的少ないと読むことができます。全体としてコストはまあまあ重視する傾向が読めます。このように左にずれている右にずれているの違いはあれど、意見が広がっているときはこのようにグラフはだらだらと上がっていきます。また中間の5が多くなりがちです。通常はこのように意見が広がっていて、それをどうまとめていくかが課題になるわけです。
これに対して、安全性の重視は問答無用に重視されていることがグラフの形からもはっきり現れています。この点については議論の余地はありません。国民は「安全第一」なのです。
さてこの積み上げ型のグラフを使うと、回答の変化を視覚的に捉えることが出来ます。例えば原発ゼロシナリオについて、討議前後を比較すると次のようになります。
グラフの右半分がぐぐっと左に動いてます。討議の後5(ちょうど中間)が減って、10(強く賛成)のが増えているのがはっきりと見て取れます。6〜9の傾向はそれほど変わらないようです。熟議によって中立が減って、「強く」賛成する人が増えました。
このグラフを見ると、今後議論すればするほどゼロシナリオ支持者が増えるのではないかと思います。コストのグラフのように、個人がバランスを考えて1〜9という回答をするのではなく、いままでは判断つかなかった人(5)は賛成と考えるようになり、さらにゼロシナリオに確信を持つ人(10)が増えています。報道としては控えめに46.7%(10と回答した人の割合)と言っていますが、6〜10を足せば67.3%であり、議論を重ねればこの多数派に巻かれて行く人はさらに増えるでしょう。まあ世論としては決着はついたと言っていいと思います。
この積み上げグラフをこのデータに適応した例は投稿の段階では他で見つけてないですけど、とっても有効です。分析される方はこの積み上げグラフの活用、お薦めですよ!
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