世の中「消費の時代」から「生産の時代」になっているという話題は、4年程前まで開催していた同時多発変化連絡会議でよく取り上げていました。その時の議論をその後4年間の動きを加えながら簡単にまとめようと思います。
工業時代の大量消費時代
かつて工業時代は大量にモノが作られる時代でした。その頃は大量に作られるモノを大量に消費するのがかっこいい時代でした。いつの世でも大量にあるものを大量に消費することがかっこいいのです。豊かなものをたくさん使うことは格好よく、不足しているものを大切にすることは美しいと感じる、人間の優しい情知
情報革命で始まった大量情報消費時代
しかし資源が有限であることや消費したモノを次々廃棄することが環境を損なうことが意識され始めると、モノは大切にすることが美しいという価値観に変化しました。「不足しているものを大切にすることは美しい」のです。工業時代の終焉です。一方で情報革命が始まりました。このブログで「情報処理技術の発展」というタグで取り上げている現象です。情報処理技術つまりITが飛躍的に発展し、大量に情報が作られるようになったのです。
そこで、今度は大量の情報を消費することがかっこいい時代になりました。「大量情報消費時代」です。大企業はモノ作りから情報作りにシフトしようとしました。しかし、事はそんなに単純ではありませんでした。大量にコピーを作ることが簡単な情報は、誰もお金を払いたがらなかったのです。ヤフーのポータルサイトに行けば、世界中のニュースを読むことができます。そういう誰でも手に入るものに対価を払う気になれないのです。「大量情報消費」というシステムでは経済がうまく回らないのです。
知的生産の解放で始まった生産消費時代
一方で「情報処理技術の発展」によって、かつては大規模な仕組みでしか作れなかったモノや情報が次々と個人でもできるようになりました。このブログで「知的生産の解放」というタグで取り上げている現象です。ブログのように誰でも情報発信できるようになったとか、初音ミクを使って誰でも歌を作れるようになったといった変化です。このことによって、大企業による少数大量コピーの情報だけでなく、無数の個人や小さなグループによる多様で多種の情報が大量に生産されるようになりました。このシステムでは消費者も単純な消費者ではありません。“消費の時代”から“生産の時代”へでも指摘されているように、ニコニコ動画のある動画を鑑賞するという消費活動には、コメントをするといったささやかなものから様々な生産活動が付随します。生産と消費の境目、あるいは生産者と消費者という境界は非常に曖昧になっています。
無数の個人や小さなグループが生産者となることで、今我々は「大量生産消費時代」に突入したのです。
註:ちなみに消費と生産の境目がはっきりしていたのは工業時代だけで昔は昔でぼやけてました。その話はまたいずれ。
消費者と生産者という境界が曖昧になることは、アルビン・トフラーが1980年の第三の波でプロシューマーあるいは生産消費者として見事に予言しています。また生産消費者が生まれることによって作られるであろう社会の構造は2006年の富の未来で語られています( wikipedia 生産消費者参照)。予言が当たっているということは、社会の環境変化に対して、人間が無理なく自然に対応していることと言えます。安心してこの流れに乗っかっていけばいいのです。
作られるのは情報だけではない
前節までが4年前までの動きでした。その後さらにどうなっているか。まず目を見張るのは無数の個人や小さなグループが作っているのは情報だけではないことがはっきりしてきたということです。家電を作っている人もいます。巨大ロボット(註)を作っている人もいます。モノ作りも個人に解放されているのです。じきにiPhone, iPadのようなスマホやタブレットを作る個人が出てくることでしょう。註:その巨大ロボットが発表から1ヶ月で3000台の注文を受けたようです!
新しいエコシステムが芽生えている
そしてなんといっても頼もしいのは、大量生産消費のシステムの中で、経済活動が始まっているということです。ニコニコ動画でタダで聴ける曲のCDを買う人が出てきました。無数の作り手から生まれる情報の中で価値があると思うものにきちんと対価を払いたい人が出てきたのです。そのことによってニコニコ動画への投稿をきっかけにプロとして音楽活動をする人が出てきました。
新しいエコシステムが芽生えです。
まだまだよちよち歩きのシステムですが、今の我々が価値があると認めることができるものが生まれたことはすでに揺るぎなく、今後多くの人が、そういった価値を持つ、したがって誰かが買うものを次々に生み出していくことでしょう。ここでついに我々は工業時代の「大量消費時代」の呪縛から逃れ、「大量生産消費時代」のエコシステムの中で、めくるめく経済活動を謳歌することになります。世の中の経済がうまく回るようになります。早く訪れてほしいものです〜。
4年前までは、「そうなったらいいなあ」という願望でしか書けませんでしたが、今ははっきりとその芽生えが確認できます。まさに歴史的な瞬間ですね!




